あにさきすしょう

アニサキス症

同義語
アニサキス
最終更新日:
2022年11月28日
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2022/11/28
更新しました
2017/04/25
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概要

アニサキス症とは、イカやサバなどの魚介類の寄生虫であるアニサキスを摂取することで発症する病気です。アニサキスは加熱や冷凍に弱いため加熱した食品や冷凍した食品であればアニサキスが寄生していても問題となることはありません。しかし、生きたアニサキスが寄生した食品を生食すると、さまざまな症状が引き起こされます。

もっとも一般的な症状は、アニサキスが胃の壁に侵入しようとすることによって引き起こされる強い上腹部痛、吐き気、嘔吐などの症状です。また、アニサキスが胃を通って腸に流れ落ちた場合は腸の壁に侵入しようとすることで腹痛、吐き気、嘔吐などの症状のほか、重症な場合には腸に穴が開いたり、腸閉塞(ちょうへいそく)を引き起こしたりすることがあります。

アニサキス症に対する治療は、胃に症状がある場合は内視鏡でアニサキスを摘出する処置が行われますが、腸に症状がある場合は内視鏡を挿入できない部分が大半を占めるため症状を抑えるための対症療法が主体となります。

原因

アニサキス症は、アニサキスと呼ばれる寄生虫を摂取することによって引き起こされる病気です。

アニサキスはイカやサバなどの魚介類に潜んでおり、2~3cmほどの糸状の形態をしています。アニサキスが潜んでいる魚介類を生食すると、アニサキスが胃や腸内に入り込み、壁の中に侵入しようとすることで非常に強い症状が引き起こされるとされています。

なお、アニサキス症は日本でもっとも多い寄生虫症であり、原因となる魚介類は国内で漁獲されているものでも160種類を超えるとされています。特に刺身や寿司など魚介類を生食すると発症するリスクが高くなるため注意が必要です。

症状

アニサキス症の症状の現れ方は、アニサキスが侵入する部位によって大きく異なります。

アニサキス症の多くは胃の壁に侵入するタイプの“胃アニサキス症”ですが、アニサキスが含まれる食品を口にしてから数時間~十数時間後に突然の激しい上腹部痛とともに吐き気・嘔吐がみられます。一方、腸の壁に侵入するタイプの“腸アニサキス症”では、食後十数時間~数日後に激しい腹痛、吐き気・嘔吐などの症状が現れます。また、腸の壁は胃の壁よりも薄いため、重症な場合にはアニサキスが腸の壁を突き破って穴を開けて腹膜炎を引き起こしたり、腸閉塞を併発したりすることもあります。

また、過去にアニサキスを摂取したことがある場合は、アニサキスに対してアレルギー反応を引き起こすこともあり、血圧低下や呼吸困難などの重度なアナフィラキシーショックを引き起こすことも知られています。

検査・診断

食事歴や症状などからアニサキス症が疑われる場合は、次のような検査が行われます。

内視鏡検査

胃アニサキス症が疑われる場合は、内視鏡検査を行って胃の中にアニサキスが存在するかを調べます。また、アニサキス症と似た症状を引き起こす病気との鑑別にも有用な検査です。

血液検査

炎症の程度など全身の状態を把握するために血液検査を行います。また、内視鏡の挿入が困難な小腸などの腸アニサキス症や胃アニサキス症が疑われるものの内視鏡検査で発見できなかった場合には、アニサキスに対する抗体を調べる検査を行うこともあります。

画像検査

重症な腸アニサキス症では腸閉塞や腸穿孔(ちょうせんこう)を引き起こすことがあるため、これらの発症が疑われるときはX線やCTによる画像検査を行う必要があります。

治療

アニサキス症は寄生虫症の1つですが、駆除薬などは開発されていません。

アニサキス症の多くは胃アニサキス症ですが、この場合は内視鏡で胃の中のアニサキスを取り除く処置が行われます。一方で腸アニサキス症は内視鏡が挿入できない部位にアニサキスが侵入しているケースが多く、一般的には腹痛に対する痛み止めの投与などの対症療法が行われ、腸の壁に穴が開いた場合は手術が必要になります。

予防

アニサキス症は寄生虫のアニサキスを生きた状態で摂取することによって発症します。そのため、アニサキス症を予防するためには生きたアニサキスが含まれる食品を取らないことが大切です。

アニサキスは主にイカ、サバ、アジ、イワシ、サンマなどの魚介類に潜んでいる寄生虫です。しかし、60度で1分以上の加熱・-20度で24時間以上の冷凍処理をすればヒトに害を及ぼすことはなくなります。日本では刺身や寿司など魚介類を生食する文化があるため、アニサキス症の発症はほかの先進国より多いのが現状です。

アニサキスは魚介類の内臓内に寄生するため、新鮮なうちに内臓を取り除くなどの処置もアニサキス症の予防に役立つとされていますが、食品を加熱・冷凍したほうが確実です。なお従来、醤油、わさび、酢がアニサキス症の予防に有効ではないかと期待されてきましたが、料理で使う程度の量や濃度、処理の時間では虫体は死なないので、アニサキス症を予防するためは、原因となる食品を加熱・冷凍後に摂取することが大切です。

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